ワーケーションと「仕事の集中」に必要なこと
Myoko Workation column
こんにちは、妙高ワーケーションセンターの竹内義晴です。
これまで、わたしたちが取り組んでいるワーケーションの「4つの目的」についてお話してきました。
ワーケーションの「4つの目的」とは……
今回は「Work Concentration:仕事の集中」について、事例を交えてお話したいと思います。
ワーケーションって、どうしてアクティビティとくっつけたがるんですか?
「ワーケーションを推進している人たちは、どうしてアクティビティとくっつけたがるんですか? わたしは、いい環境で、集中して仕事がしたいだけなのに……」
これは以前、知人から投げかけられた言葉です。
「ワークとバケーションの組み合わせ」といわれるワーケーション。それだけに、一般的なイメージは、さまざまな観光的な要素とアクティビティを掛け合わせるイメージがあるのかもしれません。
知人の言葉に、わたしは正直「グサリ」ときました。
でも、改めて思いました。ワーケーションにおける「仕事の集中」って、何なのだろう? それに必要なことって、何だろう?
屋外は集中しにくい?──ワーケーションの仕事環境
まず、ワーケーションにおける仕事環境について。
ワーケーションといえば、「屋外で仕事をする」というイメージがあります。わたしも以前、そういったイメージにあこがれて、屋外で仕事をしてみたことがありました。
最初は、非日常感があって楽しく感じました。「そうそう、これがワーケーションの醍醐味だよな」と。
でも実際には、30分もせずに屋内に退避しました。なぜなら、次のような「仕事に集中できない」状況があったからです。
- モニターに太陽の光が映り込んで見にくい
- ちょっとした風で髪が乱れたり、風の強弱が変化したりするのが意外と気になる
- WiFiが不安定になり、仕事にならない
- PCのバッテリーが気になる
- 夏は暑い、冬は寒い
- アウトドア用の机やいすでは、腰や肩が痛くなる
WiFiやPCのバッテリーは環境にもよるので、必ずしもこうなるとは一概にはいえませんが、よく考えてみたら「屋外なら、こうなるよな」と改めて思いました。
集中してワーケーションをするための絶対条件
では、集中して仕事をするためには、どのような条件が必要なのでしょうか? テレワークの実務経験からあげてみました。
高速で安定している通信環境
まず、もっとも大切なものの1つが、「高速で安定している通信環境」でしょう。
仕事上のデータのやりとりがメールやチャット、グループウェアなど、テキストベースの情報が多ければ、回線は多少細くても問題ありません。しかし、テレビ会議など動画のデータをやり取りする場合、ある程度の通信品質が必要です。
たとえば、テレビ会議システムの1つ、Zoomの通信環境の要件は、次のようになっています。
1 対 1 のビデオ通話の場合:
- 高品質ビデオでは 600 kbps(上り / 下り)
- 720 p HD ビデオの場合では 1.2 Mbps(上り / 下り)
- 1080p HD ビデオでは 3.8 Mbps / 3.0 Mbps(上り / 下り)
グループビデオ通話の場合:
- 高品質ビデオでは 1.0 Mbps / 600 kbps(上り / 下り)
- 720p HD ビデオでは 2.6 Mbps / 1.8 Mbps(上り / 下り)
- 1080p HD ビデオでは 3.8 Mbps / 3.0 Mbps(上り / 下り)
- ギャラリー ビューでは 2.0 Mbps(25 名)、4.0 Mbps(49 名)
通信環境は、30~40Mbpsぐらいあると「安定している」といえるでしょう。
快適な空調
屋外の活動だと気持ちがいい風も、仕事中には意外と気になります。
仕事に集中するためには、快適な空調も必須ですね。
からだに合った机といす
短時間なら、屋外にある木製やアウトドア用の机といすでもいいかもしれませんが、からだに合っていない机や固いいすでは、肩や腰が痛くなってしまいます。
長時間、集中して仕事をするには、からだに合った机といすも必須です。
電源
近年はバッテリー性能もあがり、1日充電しなくても大丈夫なPCもありますが、すべてのPCがそうであるとも限りません。
集中して仕事をするには、電源もあったほうがベストですね。
さらに「あるとよい」ワーケーション環境
次に、意外と忘れがちな「これがあると、さらにいいのになぁ」と思う、ワーケーション環境です。
モニター
移動を伴うワーケーションでは、持ち運びに便利なノートPCを使用するケースが一般的です。しかし、ノートPCはモニターの範囲が狭いのが欠点です。
原稿を書くぐらいなら問題ありませんが、集中してプログラミングをしたり、プレゼンのスライドをつくったりする場合は、もう1枚大き目のモニターが欲しいもの。
テレビ会議を行う部屋
ワーケーションではテレビ会議を行うことも少なくありません。しかし、オープンなスペースで声を出すのは「周囲に迷惑ではないか」と気になります。
また、仕事では顧客の情報や個人情報などを扱うこともあります。
そこで、会議に集中するなら、声を出しても問題なく、セキュリティ的にも安全な場所があるとよりよいでしょう。
近くにごはんを食べる場所
意外と忘れがちなのは、「ごはんを食べる場所」です。
1日、集中して仕事をする場合、ランチを食べる必要があります。もちろん、コンビニでおにぎりや弁当を買うこともできますが、コンビニ弁当では味気ない場合も。
少し移動してもかまいませんが、近くにごはんを食べる場所があるといいですね。
自動販売機
こちらも、事前に準備をしておけばさほど問題にはなりませんが、これまで、何度かコワーキングスペースに行った経験上、気分転換に飲み物を飲みたいのだけれど、「近隣に自動販売機がない」という経験が何度かありました。
都市部なら、徒歩圏内にコンビニがあるかもしれませんが、地方だと徒歩圏内にない場合もありました。
「ワーケーションならでは」の環境で欲しいもの
ここまでのお話は、「ワーケーション」のみに関わらず、オフィス以外で働くテレワークに共通しているように思います。
そこで、「ワーケーションならでは」の、あるとよいものについてあげてみました。
都市部にはない気分転換できる「何か」
ワーケーションとは、都市部、あるいは、居住しているところでは絶対に体験できないことが、ワーケーション先で体験できることが、醍醐味の1つではないかと思います。
仕事に集中したい方にとって、そこまでガッツリとしたアクティビティは必要ないかもしれません。でも、仕事以外の朝晩の時間、あるいは、ちょっとした仕事の合間に、景色のよい自然の中を散歩したり、地域ならではの食事や温泉などが堪能できると、よりよいのではないでしょうか?
地域の人との交流
これは、人による好みがあるかもしれませんが、せっかくワーケーションに行くのなら、地域の人との交流があるといいですね。観光では分からないことを知ったり、気づいたり、感じたりすることができます。
妙高市における「仕事の集中」の取り組み
ここまで、ワーケーションにおける「仕事の集中」についてみてきました。
最後に、妙高市におけるワーケーションの「仕事の集中」に関して、現在取り組んでいることについてご紹介させてください。わたしたちは、みなさんが仕事に集中できるような、「ワーケーションの環境」ができたらいいなと思っています。
ワークスペース
妙高ワーケーションセンターがある「ハートランド妙高」では、無料で使えるワークスペースをご用意しています。
高速WiFi(通信速度は上り、下りともに90Mbps程度)、空調、ビジネス用の机といす、電源などがあります。
また、外部モニター、自動販売機もございます。
数分車で移動しますが、近隣に数件、地元でも人気の飲食店があります。
テレビ会議ができる個別のスペースの用意はありませんが、必要な場合はスタッフにご相談ください。
なお、令和4年にはテレワーク交流施設が妙高市関川(池の平地区)に完成予定です。
滞在拠点
宿泊施設付き市民農園「クラインガルテン妙高」という、1ヶ月滞在できる施設があります。とても静かな環境にある別荘のような建物です。1ヶ月3万円ほどの料金でご利用いただけます。
また、数泊でお越しの場合は、近隣の宿泊施設をご紹介いたします。
※なお、クラインガルテンはもともと、1年間利用が前提の施設でした。2020年より1棟、試験的に1ヶ月の短期利用ができるようにしたところ、とても人気で、2021年8月現在、すぐに埋まってしまう状況です。近々、もう1棟増やすべく調整中です。
都市部ではできない気分転換
せっかく妙高においでくださったのであれば、都市部ではできない体験をしていただけたら……と思っています。
妙高市には、いもり池や苗名滝など、30分~1時間ほどで散策できる景色のよいスポットがあります。
また、ウインターシーズンなら、スキー場へ30分ほどで行くことができます。これまで、「平日は仕事に集中し、休日は妙高を拠点にスノーボードを楽しむ」といったワーケーションをされていた方もいらっしゃいます。
地域における交流
せっかくご来訪いただくなら、わたしたち地域側の人たちとの交流の機会をご提供できたらいいなと思っています。
時期にもよりますが、味噌づくりやそば打ちなど、地域ならではの体験をご一緒できたらと思っています。
ワーケーションは、仕事に集中できてこそ
ここまで、ワーケーションにおける「仕事の集中」についてお話させていただきました。
ワーケーションといえば、「仕事と休暇」「仕事と観光」といったイメージがあります。一方で、仕事に集中したい方にとっては、観光寄りのアクティビティは「ほどほどでよい」と思われている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
冒頭にご紹介した、わたしの知人のように。
これまで紹介してきたように、仕事の集中はかならずしも「ワーケーションだから」できるものではなく、ここまでお話してきたように、必要な条件はある程度はっきりしています。
これからも、みなさんが集中して仕事ができる環境を整えていけたら……と思っています。
ワーケーションにご関心をお持ちのみなさまへ
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