妙高のワーケーションは一貫して「仕事」と「学び」──提供する形はさまざまでも想いはひとつ

Myoko Workation column

妙高ワーケーションセンター ワーケーションコーディネーターの竹内義晴です。

「ワーケーション」という言葉が一気に広がったのは2020年7月。それから、約2年の歳月が過ぎようとしています。当初は「観光回復への休暇分散策」や「新たな形の観光」のように、「観光」という形で広まったワーケーションも、個人的な印象では「観光」の色は薄まり、やや、落ち着きを取り戻してきたような気がしています。

もっとも、「休暇を楽しみながら仕事」といった働き方は、企業に、そのような制度ができてこそ可能な働き方です。そう考えれば「どうやら、観光ではなかったようだね」ということに、多くの人が気づきはじめるのも、当然なのかもしれません。

少しずつ変わってきた「時間と場所の制約がない働き方」

都市部で働いている、わたしの周囲の方々の働き方を観察していますと、2020年頃は「ワーケーションというのをやってみたいけれど、上司の〇〇さんはOKしてくれないだろうな」といった言葉を見聞きすることが多いのが実際でした。

しかし、在宅勤務が広がり、テレワークが普通になった2022年は、「しばらく実家で仕事をします」「来週は〇〇(地名です)で仕事をします」「〇〇へワーケーションへ行きます」といった話を耳にすることが増えてきました。

もちろん、そういった働き方ができるのは、まだまだ少数かもしれません。でも、少なくとも以前とは「変わってきたな」というのが、実感としてあります。

ワーケーションは「仕事中心」である

さて、妙高ワーケーションセンターを立ち上げたのは2020年6月です。その当時から、一貫して、「ワーケーションは仕事中心である」とお伝えしてきました。それは、周囲に対して「仕事」ということを明確に言えないと、企業で働く人たちが行うことができないからです。

そこで、わたしたちはワーケーションを、企業研修オフサイトミーティングなど、企業で働くみなさまが取り組みやすい形を提案してきました。この「ワーケーションは仕事中心である」という考え方は、いまも変わっていません。その対象がたとえ個人であったとしても、「ちゃんと仕事ができてこそ」なのではないかと思っています。

親子ワーケーションに取り組み始めた理由

ところで、最近わたしたちは、「親子ワーケーション」の取り組みをはじめています。その経緯としては、妙高ワーケーションセンターを運営している「妙高市グリーン・ツーリズム推進協議会」はもともと、小中高・大学などの生徒や学生のみなさんを、修学旅行や体験旅行といった機会に、農泊や民泊など、地域の体験を通じて学びのプログラムを提供しており、地域のさまざまな方々と関係を構築していた、という経緯があります。

親子ワーケーションというと、「親子が、地域を楽しみながら仕事もする」──そんなイメージを抱かれるかもしれません。また「あれ? 妙高は仕事がテーマなんじゃないの? 親子ワーケーションはちょっと違うんじゃないの?」と、思われている方もいらっしゃるかもしれません。

確かに、親子ワーケーションは「子ども」を中心に考えると、「いかに子どもが楽しめるか」「いかに家族で楽しめるか」──そんなイメージを抱かれるのも当然です。

親子でも「仕事中心」

一方で、わたしたちが親子ワーケーションに取り組んでみようと思ったのは、「子ども」視点ももちろんゼロではないものの、その始まりは「親御さんが集中して仕事ができる環境をいかに作れるか?」という問いでした。

「家族一緒に」という形の親子ワーケーションを実現するのは、お子さんのそばに親御さんがいるので、実は、それほど難しいことではありません。

一方で、「仕事がメイン」の親子ワーケーションは、「お子さんを安心した環境に預けられること」が大前提です。なぜなら、子どもを安心して預けることができないと、親御さんは子どものことが気になってしまい、集中して仕事ができないからです。この、「お子さんを安心した環境に預けられること」を実現するのは、いわゆる教育機関ではない私たちにとって、実は、かなり高いハードルです。関係各位の協力がないとできません

それでもなぜ、親子ワーケーションを実現しようと思ったのか……。

普段、在宅勤務など、お子さんと常にいっしょの環境で仕事をしなければならない親御さんは、会社で仕事をするのとは違って、かなり大変なのではないかと思っています。時には、子どもと離れる時間も必要かもしれません。そこで、子どものことを気にせずに、仕事に集中できる時間があってもいいのではないか? それは、親御さんの心身を整える上でも、とても大切なことなのではないか? そんな風に考えました。

2022年3月に開催した親子ワーケーションで、親御さんの働き方を間近に見たとき、その大切さを痛感しました。

提供する形はさまざまでも、想いはひとつ

そういう意味では、わたしたちが取り組んでいる親子ワーケーションは「仕事中心」です。いかに「よい環境で」「集中して仕事ができるか」という点に、意識を向けています。それに加えて、せっかく自然が豊かな妙高においていただくなら、子どもたちにはのびのびと自然を体験してほしいし、ただ「遊ぶ」「観光する」だけではなく、都市部では得られない学びや気づき、発見を体験してほしい。

もっとも、よく考えてみたら、子どもたちにとっては「学習」は、ある意味「仕事」ですよね! 楽しく学習してくれたらいいなと思います。

親子ワーケーションには、このような思いで取り組んでいます。

提供する形はさまざまでも、その想いはいまも、これからも変わりません。「仕事中心」「学び中心」のワーケーションに、わたしたちはこれからも、取り組んでいきたいと思っています。