越境学習とは?──「価値観の揺らぎ」が生み出すクリエイティブ

Myoko Workation column

妙高ワーケーションセンター ワーケーションコーディネーターの竹内義晴です。

先行きの見通しが経ちにくく、「こうすればうまくいく」という正解がないいまの時代に、社員に対して「会社の課題を自分ごとして考え、もっと自発的、自律的に動いてくれたらいいのになぁ」と思ったことはありませんか?

「言われたことを確実にこなす人」も大切かもしれません。しかし、正解がないいまの時代に、課題を自分ごと化し、行動できる自律型人材は、混沌とした中に新しいアイデアを見出し、新たな「コト」を生み出します。

ところが、多くの人は「課題を自分ごと化する」「自分の中から新しいアイデアを生み出す」ことがどういったことなのかが分からないため、机の上で「新しいアイデア、降りてこい!」と、ウンウンうなることしかできません。

ただ、それも無理もないことかもしれません。なぜなら、「新しいアイデアを思いつく」という実体験がない限り、「どのようにすれば、課題から新しいアイデアが浮かぶのか」「それを自分ごと化できるのか」がわからないからです。

でも、「越境学習」という方法を使うと、新たな気づきや発見が起こりやすく、学びにもつながりやすくなります。その結果、自発的・自律的になり、新しいアイデアや変化への対応力が身に付きます。

そこで、この記事では「越境学習とは何か?」についてみていきます。

越境学習とは何か?

越境学習を一言で表現すれば、所属やキャリア、慣れ親しんだ価値観などの「境界」を超えて、新しい人との出会いや体験など、日常と非日常を行き来することによって起こる「価値観の揺らぎ」です。

新たな気づきや発見が起きやすく、課題を自分ごと化できるため、オフィスでは得られない学びとなったり、クリエイティブなアイデアにつながったりします。

これは、必ずしも難しいことではなく、多くの方が日常の中で体験しています。

たとえば、はじめて訪れた地域で「あれ? このコンビニ、はじめてみるな」といった気づきや発見をするようなご経験は、きっと多くの方がされているのではないでしょうか。

また、他社の人や、住んでいる地域が異なる人など、価値観が異なる人と話をしたときに、「そういう考えもあるのか!」「いやぁ、勉強になるなぁ」といった学びが起きる経験も、多くの方がされているでしょう。

越境学習によって得られること

こういった気づきや学び、発見は偶発的な場合がほとんどです。しかし、越境学習を「意識的に取り入れる」ことによって、以下のような効果を期待できます。

  • 生活環境、仕事環境、働き方、街並み、コミュニティなど、普段とは異なる非日常に行って、話す、体験する、体感することによって、「ふつうは〇〇なのに、なんでこうなっているんだろう?」「なぜ、この問題が起こっているんだろう?」といった「価値観の揺らぎ」が起きる
  • 「価値観の揺らぎ」は、日常環境では得られない気づきや発見、学びになる
  • 気づきや発見、学びは第三者から与えられたものではなく、内発的に起こるため、モヤモヤ感が生じたり、「これを解決するためにはどうすればいいのだろう?」のような「自分ごと」としてとらえることにつながる
  • 「うちの商品を使って、この問題を解決できないだろうか?」のように思考を膨らませると、新たなアイデアやビジネスの種になることがある

越境学習の具体例

個人的な話で恐縮ですが、具体的な事例をお話します。

私は新潟県妙高市にいながら、都市部の会社でも「複業」という形で働いています。複業とは、メイン(本業)とサブがある「副業」とは異なり、「複数の本業がある」という働き方です。週2日、フルリモートで働いています。

地方と都市部を行き来する中でよく経験するのは、「地域の中で話す内容」と「都市部の企業で話す内容」の違いです。

たとえば、新潟で行っているお祭りや地域の行事、人口減少といった現状の話を、都市部の会社ですることはあまりありません。逆に、私が都市部の会社で行っている企業のブランディングやマーケティングの話を新潟で話すことはほとんどありません。

このように、いる場所によって、会話の内容や価値観、言葉遣いなど、地域と都市部ではかなり違います。

この、「違い」によって、「なぜ、地方と都市部では、人間関係の濃さが違うのだろう?」とか、「新潟の企業も、もっとマーケティングを活かせばいいのにな」といった、いい意味での「価値観の揺らぎ」が起きます。

この、「価値観の揺らぎ」が、気づきや発見となり、越境学習につながります。

越境学習は、クリエイティブなアイデアも

また、東京の会社で働き始めて、比較的早い段階で、「いま、新潟を拠点に、東京の会社でリモートワークしているけれど、もし、この逆の働き方ができたら――つまり、地域の企業に、都市部の人たちが、複業のような形で働くことができたら、人材不足に悩む企業にとってもいいはずだし、都市部で地域に関心がある人にとってもいいはずだ」のようなアイデアを思いつきました。

なぜ、このようなアイデアが浮かんだのか。それは「異なる環境に越境したから」だと思っています。

このような価値観の揺らぎは、同じ地域、あるいは、同じ会社の人たちと話していてもなかなか起きません。もし私が、新潟にいるだけだったら、このようなアイデアは思い浮かばなかったでしょう。

また、単に「課題を見つけましょう」と、事務所の中でウンウンうなっていても、新しいアイデアはなかなか降りてきません。

けれども、日常と離れた環境に身を置けば置くほど、ギャップがあればあるほど「何だこれ?」という問いが起きやすい。それが、新しいビジネスの種だったり、クリエイティブなアイデアになるのです。

先般、妙高市に研修型ワーケーションに来訪された企業の社員さまは、朝日新聞デジタルの『まちおこしの最前線はデジタル、距離と空間を超えて「ファン」拡大』という記事で、次のように言っています。

 ワーケーションで訪れた脇野さんも、妙高市内の企業のデジタル技術による業務効率化を、自社の人材教育システムを用いて、ワーケーションに訪れた企業に体感してもらうビジネス案を、3日間の滞在最終日に市に出した。妙高を訪れる企業のアイデアを地元企業に還元しようとしている。「地方の課題解決に協力したい思いはあったが、実際に来てみて、何を悩み、何を必要としているのかが分かった」と脇野さんは話した。

越境学習を意図的に起こす

越境学習は、日常とは異なる環境に身を置くことによって起こります。

日常とは異なる生活環境、仕事環境、働き方、街並み、コミュニティ……普段とは全く異なる非日常に行って、話す、体験する、体感する……そういった非日常に足を踏み入れることによって、「あぁ、なるほど!」「なんでこうなっているんだろう?」という揺らぎが起きます。

また、地域で何らかの課題感を感じたなら、「うちの商品を使って、この問題を解決できないか?」といった、新たなビジネスにつながるアイデアにつながるかもしれません。

全く異なる地域の人たちと会話をしたり、お互いの強みを活かしあって活動する。その結果、新たな「コト」が起きる。そういうことを生み出すためには、異なる環境や、人のつながり、対話が重要です。

このような「価値観の揺らぎ」が、クリエイティブの源泉であり、新たなビジネスの種。それが、越境学習なのです。

越境学習をコーディネートします!

妙高ワーケーションセンターでは、御社の越境学習が気づき、発見、学びの機会になるよう。企業研修経験が豊富なコーディネーターがコーディネートします。オフィスの会議室では得られない学びを、一緒に創りませんか。まずはお問い合わせフォームから。