私たちが目指すワーケーションは「仕事+休暇」というより、個人やチームの「気づき・学び・成長」

Myoko Workation column

妙高ワーケーションセンター ワーケーションコーディネーターの竹内義晴です。

昨今、政府や自治体、旅行業界などで「ワーケーション」が人気です。

ワーケーション(Workation)とは、ワーク(Work)とバケーション(Vacation)を掛け合わせた造語で、「仕事をしながら余暇を楽しむ」など、いままでにない「これからの働き方」だと言われています。

そして、多くの自治体では「新たな誘客の手段」として、旅行業界では「新たな観光需要の掘り起こし手段」として、政府は「地方創生の一貫」として、ワーケーションを推進しようとしています。

ひょっとしたら私たちも、その流れに乗ろうとしている1つなのかもしれません。

しかし、このような話を見聞きしたとき「休暇を楽しむために観光地に来たのに、わざわざ仕事をする人なんているの?」「一緒に来た子供も楽しくないでしょう?」のようにお感じになる方もいらっしゃるのではないでしょうか?

ワーク・ライフ・バランスという言葉があるように、いままで、仕事とプライベートは切り分けて、バランスをとるのがよしとされてきました。それなのに、ワーケーションは「仕事と休暇を楽しもう」というのですから、違和感を抱かれるのも当然です。

実は、私たちが描いているワーケーションは、いわゆる「仕事と遊び」「仕事と観光」といった組み合わせとは少し違います。そこでこの記事では、「一般的にいわれているワーケーション」と「私たちが描いている妙高のワーケーション」との違い、そして、目指している理想についてお話します。

「リゾートで仕事」だけがワーケーションなのか?

一般的なワーケーションを考えたとき、地域側の目的は「観光の誘客」や「地域活性化」なのではないかと思います。

確かに、「仕事をしながらバケーション」「リラックスしながら仕事」「旅をしながら、自分の好きなところで働く」というのは、理想的な働き方かもしれません。景色のいい場所で仕事をすると、クリエイティブになれる……のかどうかは分かりませんが、少なくとも、気分よく仕事はできそうです。

一方で、実際それができる人はどれだけいるのだろう? とも思います。会社員の方がワーケーションをしようと思ったら、上司や同僚はじめ、周囲の理解が必要でしょうし、テレワークの制度が整っていない企業も多いです。その他にも、「旅費交通費はどうするのか?」「宿泊費は?」といった課題もあります。

フリーランスのような、一部の自由業の人なら可能なのかもしれません。でも、そういった方々は、わざわざ「ワーケーション」などと言わなくても、やりたい人はすでに行っているのではないでしょうか。

逆に、せっかく観光に行くなら「仕事のことは忘れたい」と思う人も少なくないはずです。

たとえば、毎日夜遅くまで働いているビジネスパーソン。家族との時間を大切にしたいから旅行に行くのに、そこにパソコンを持って行き、仕事をしたいと思うかどうか……。「お父さん、せっかくの家族旅行なのに、こんなところでも仕事?」「たまには、家族の時間を大切にしてくれたっていいじゃない!」と、パートナーや子どもたちから言われてしまうかもしれません。

私たちが考えるワーケーションの主体は「ワーク」

私たちは、ワーケーションを「観光の延長」とは、あまり考えていません。

もちろん、「妙高の自然はいいね」「温泉が最高」「食文化がすばらしい」と言っていただくのはうれしい。いままで妙高をご存じない方に、知っていただけたら最高です。

けれども、私たちが来訪してくださったみなさまから本当に聞きたい声は、次のような言葉です。

「妙高で仕事をするからはかどる」「妙高で仕事をするから集中できる」「妙高で合宿をするからチームワークがよくなる」「妙高で研修をするから人材育成ができる」「妙高に来たから癒される」。

そして、「妙高でワーケーションするから会社が成長できる」……かどうかは分かりませんが、少なくとも、私たちはビジネスパーソンにとって、あるいは、企業にとって、「価値ある場」でありたいと願っています。

改めて、一般的なワーケーションと妙高のワーケーションの違いを整理してみました。

一般的なワーケーション

  • 観光が主、仕事が従
  • 主の目的は「地域活性化」や「観光需要の掘り起こし」
  • 自治体や旅行業界が主体
  • コンテンツは自然、温泉、食文化など、観光の延長
  • コワーキングスペースなどの環境整備

妙高のワーケーション

  • 仕事が主、観光が従
  • 主の目的は「個人やチームの成長」
  • ビジネスパーソンや企業が主体
  • コンテンツは人材育成、チーム創り、健康経営。そのために、地域のリソースを活かす
  • 活動の場としてのワーキングスペース

その結果として来訪者が増え、地域が活性化したらいいなと思っています。

何があれば「個人」と「チーム」が成長できるのか

では、「個人」と「チーム」が成長できるワーケーションとは何でしょうか。

たとえば、それは……

  • 都市部のオフィスでは体験できない「深い学び」がある
  • 会社の会議室では得られない「気づき」がある
  • ビルに囲まれた環境では得られない「癒し」がある
  • 上司と部下との関係ではない「コミュニケーション」がある

といったものではないかと、私たちは考えています。

とはいえ、それだけではイメージしにくいかもしれません。そこで、具体的なプログラムの例をお話します。

妙高市は、株式会社日本能率協会マネジメントセンターと協定を結び、ビジネスパーソンの成長を支援するラーニング・ワーケーション「here there」を開発しました。here thereとは、都市部と地方を行き来し、さまざまな人と交流する中で、ビジネスや人生で大切なことを学び、深めていきながら、ビジネスパーソンの成長を支援するプログラムです。

また、個人的な話で恐縮ですが、私は以前から「自然がストレス改善やマインドフルネスに与える影響」について関心を持ってきました。現在、妙高市では、自然環境がマインドフルネスに与える影響について独自の調査を行い始めています。また、農作業などをチームで行うことによって得られる気づきといったものにも関心があります。都市部では体験できない共同作業による気づきって、結構大きいんですよね。

「学び」や「成長」があってこそのワーケーション

冒頭でお話したように、「仕事と休暇」「仕事と観光」「リゾートで仕事」といった働き方も、とても魅力がありそうです。

一方、私たちは、そういったものに加えて、ビジネスパーソンや企業にとって「仕事に役立つ」「チームに役立つ」「ビジネスに役立つ」ワーケーションを理想としています。

それが実現できる環境とプログラムを整えてまいりますので、ご関心を寄せていただけたらうれしいです。